下妻市の観光交流センター「さん歩の駅サン・SUNさぬま」を拠点にサイクリング “知識ゼロからの地方都市観光”を考える(動画あり)
2017/10/04
地方創生の取り組み、特に「観光」において、観光資源の開発は大きな課題のひとつ。景勝地や名産物の魅力をどのように“魅せていくか”に、各自治体が知恵を絞っています。
今回、Locomedianは、編集部員Kゆかりの地、茨城県下妻(しもつま)にやって来ました。深田恭子&土屋アンナのW主演で話題となった青春映画『下妻物語』を思い出す方も多いかもしれませんが、そんな下妻に2017年5月、新しい観光交流拠点「さん歩の駅サン・SUNさぬま」がオープンしたとの情報をキャッチ。人口4万人ほどの地方都市・下妻でどのような試みが始まっているのか?「映画以外の下妻知識ゼロ」の編集部3名で、リアル観光してきました!
「さん歩の駅サン・SUNさぬま」到着!
1階は地元の人の利用も多いマルシェスペース
やって来ました。こちらが「さん歩の駅サン・SUNさぬま」です。
東京から車で約1時間半。砂沼湖(正確にはため池)の湖畔に、ひときわ“新しい”施設が目に飛び込んできます。幹線道路(国道125号)からは、ややわかりづらい道を奥に入る必要があるので、通り過ぎないようにご注意ください!
さて、1階部分は写真でご紹介しましょう。産直野菜や特産品を中心とした、物販スペースとなっています。「さん歩の駅」だからでしょうか、道の駅より規模は小さめのようですが、品揃えは充実。訪れていた時間帯にも、農産物を補充しに農家の方が来ていました。まだオープンから間もないこともあり、店内はとってもキレイ!
トマトの試食なんて、うれしいですね。商品のPOPからも、お店の方や生産者の方の「体温」が伝わってくる感じ。初めて来たのに気のおけないコミュニケーションができる雰囲気は、規模が小さいからこそのメリットかもしれません。
砂沼を一望できる2階にはカフェスペース
下妻の観光情報が集まる
2階に上がると、そこは観光案内&カフェスペース。まずは動画をご覧ください。
駐車場〜1階マルシェの移動だけではわからなかった、広大な砂沼の絶景が目に飛び込んできます。2階に上がってみると、さながら「湖畔のカフェ」という雰囲気。水際の植栽などがもう少し整備されると、かなり素敵な空間になりそうな気がします。
観光案内スペース付近には、下妻市の関連書籍や観光パンフレットを読むことのできる休憩スペース。その奥はカフェ&レストランになっています。
ランチメニューは下妻産の野菜を使ったパスタなどがメイン。観光客はもちろん、近隣のママたちにとっても憩いの場になっているようでした。
無料レンタサイクル「しもんチャリ」で
砂沼湖サイクリングに出発!
さて、腹ごしらえも済んだところで、本題である”知識ゼロからの地方都市観光”を始めたいと思います。
観光案内ディスプレイでは、さまざまな「散歩コース」が紹介されていましたが、やはりココロを動かされたのはカフェから一望する、広大な砂沼湖! 今回は、この砂沼湖を無料レンタサイクル「しもんチャリ」を活用して、自転車で巡ってみたいと思います!
砂沼湖のほぼ中央部分で対岸を結ぶ「砂沼大橋」を渡り、「さん歩の駅サン・SUNさぬま」方面に戻っていくと、遠くにいい雰囲気の神社を発見! 砂沼湖畔サイクリング動画、後半は以下に続きます!
砂沼湖は思いのほか広く、(取材が真夏の炎天下ということもあり!)湖の中央にある橋を渡って「さん歩の駅サン・SUNさぬま」に戻った我々でございます…(汗)
自転車で走っている時間は20分程度だったと思いますが、途中の神社や公園などを散策すると、約1時間ほどの行程でしょうか。砂沼の周りには寺社仏閣も多く点在しているので、「しもんチャリ」を使った周辺観光には、いろんな可能性がありそうです。
「さん歩」の起点にもなる下妻駅まで「しもんチャリ」で行ってみた
今回はクルマで「さん歩の駅サン・SUNさぬま」まで来たのですが、おそらく観光コースとして想定されているのは、関東鉄道常総線「下妻駅」からの散歩のはず。サイクリングのついでに、「しもんチャリ」で下妻駅まで行ってみることにしました。
下妻駅から「さん歩の駅サン・SUNさぬま」までは、散歩ペースでゆっくり歩いて約15〜20分というところでしょうか。観光スポットが駅周辺に固まっている感じではないので、散歩といっても徒歩ではなく、「サイクリング=自転車散歩」がよさそうです。
ちなみに下妻駅にも「しもんチャリ」があるので、駅に降り立ったらすぐに自転車散歩をスタートすることができます。
Locomedian View
今年5月にオープンした「さん歩の駅サン・SUNさぬま」。“下妻についての知識ゼロ”から始まった数時間でしたが、「しもんチャリ」のおかげで、いろんな発見のある観光になりました。一方、旅行者の視点から見るといくつかの課題も感じられたように思います。
といった、地方都市観光の共通課題があらためて見えてきた気がします。
地域の持つ力を、「ストーリー」として取り出すこと。そこで初めて、Webなどを通じたプロモーションが効果を持ち始めます。今回の旅を終えて、私たちLocomedian編集部が感じた「これがあったらいいのに!」を考えてみました。
メリットの多い無料レンタサイクル。魅力的な「サイクリングコース」を提案し、もっと活性化したい!
今回、砂沼半周サイクリングで楽しませてもらったレンタサイクル「しもんチャリ」。100円玉で借り、降りる時には100円が戻ってくるシンプルなシステムは、ふらり立ち寄った「プチ観光」で、とても利便性が高いと感じました。
課題はズバリ、「自転車でどこ行けばいい?」の部分。サン・SUNさぬま2階の観光情報ディスプレイでは「おすすめ観光コース」が6種類提示されているものの、なぜか砂沼周辺ではなく、お隣の大宝駅を中心としたもの。やはり下妻駅〜砂沼周辺のコース提案がなくては、観光しようがありません。
都心部に住む人たちにとって、「広々と田園が広がる場所を自転車で走る」という気持ちのいい体験は貴重ですし、子どもたちにとっても楽しい体験になりそう。季節ごとの魅力を詰め込んだ、新鮮な切り口の観光コースを提案したいところです。
茨城百景にも数えられる砂沼湖。ぜひ「カヤック初心者の聖地」に!
「さん歩の駅サン・SUNさぬま」に着き、一番びっくりしたのは砂沼湖が思った以上に雄大で素晴らしい景観だったこと。さすが茨城百景のひとつ! なのですが、この砂沼湖で夏休みの花火大会以外にあまり目立ったイベントがないというのはもったいない!
訪れたのが平日だったこともあると思いますが、砂沼湖では地元の方がヘラブナを釣る姿がチラホラ見られる程度。隣接する大規模プール 砂沼サンビーチの人気ぶりと比較すると、ちょっともったいない気がしました。
個人的には「ここでカヤックの練習ができたらいいのに!」と思いました。穏やかな水面と十分な広さ、湖岸も船体のアプローチがしやすいゆるい傾斜になっています。「カヤック初心者は砂沼へ」みたいなアピールで、メーカーとタイアップしたグッズレンタルを備えた取り組みを始めるのはいかがでしょうか? そうなったら月イチで通ってしまいそうです。
地方都市の可能性と課題を感じたプチ観光。楽しい下妻市・砂沼での時間を過ごすことができました。下妻周辺をめぐる「地域冒険ワークショップ」、次の記事もお楽しみに!