地方創生イベントレポート「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」 Vol.2
2017/02/17
前回のVol.1では、「JOIN 移住・交流&地域おこしフェア」における移住者募集のアプローチについてレポートしました。Vol.2となる今回は、移住と並ぶもうひとつのトピックスだった「地域おこし協力隊」についてレポートします。地域おこし協力隊とは何か、移住者の募集と比べて、来場者へのアプローチにはどんな違いがあるのでしょうか?
長野県小谷村に見る移住促進と地域おこし協力隊の違い
地域おこし協力隊とは、「人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れ、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、意欲ある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度」(JOINサイトより)。
地域に来てもらうことは移住と同じでも、地域おこし協力隊は期限を設け、街の活性化に従事してもらう点が異なります。今回のJOINでは地域おこし協力隊の募集に数多くの自治体が出展していましたが、Locomedianはその中から、取材メンバーの有賀の出身県である長野の小谷村に注目。小谷村は移住と地域おこし協力隊で、それぞれどんなアプローチをしているのかを比較してみました!
Webサイトやパンフレット、移住者インタビューなどで小谷村への移住を促進
小谷村は長野県の最北西部にある人口約3100人の村。村の総面積の約88%を森林が占め、2000m級の山に囲まれた、文字通り谷にある小さな村です。小谷村への移住は首都圏から引越してきた人のほか、「風景が似ている」としてスイスからやって来た人も。いずれも小谷の自然に囲まれ、ウインタースポーツや農業のある暮らしをしたい、というのが主な理由だそう。
小谷村の移住ブースの担当者に話を聞くと、移住専用ホームページ「小谷村移住なび」を開設し、移住情報を提供。さらに村役場やJOINのような移住フェアに出展し、移住希望者へのチャネルを開いています。
実地体験の施策としては、「おたりのわ」という体験イベントを通して現地をアピール。さらには2016年、1週間から1年間の期間で小谷村に滞在できる「おためし移住」もスタートしました。そうして移住を決めた人には、「楽園信州空き家バンク」や村営住宅などで住まい探しをサポートし、1世帯あたり最大200万円相当まで利用できるポイントを付与。自宅の改修や自動車の購入などに充てることができます。
このように移住しやすい環境を整えている小谷村ですが、担当者が抱える課題は「小谷村の知名度が足りない」ということ。それをフォローする制度が「地域おこし協力隊」です。
3年の任期でミッションに従事する小谷村の地域おこし協力隊
小谷村は地域おこし協力隊で、人を集める「移住・定住支援」と産業を育てる「農業調査・研究」の担当者を募集しています。現在小谷村では13名の地域おこし協力隊が活動中で、英会話教室を開いたり、空き家対策を担当したりと、多彩なミッションに従事しています。3年の任期で地域おこしに貢献した後は、退任して別の生活を選んだり、そのまま自分で収入を確保して小谷村に定住したりと、様々なケースがあります。
協力隊メンバーの多くは小谷村出身だったり、何度か来たことがあるなど、何らか地縁のある人が多いそう。見知った地域だからこそ協力のモチベーションが高いというのは納得できる話ですが、逆にそうしたつながりがないと小谷村になかなか目を向けてもらえない、という実情も見えてきます。
Locomedian View
「移住の準備期間」としての地域おこし協力隊をもっとアピールしては
移住促進と地域おこし協力隊を比べてみると、地域おこし協力隊は移住の準備期間であることが分かります。地域おこし協力隊に参加しているのは地縁のある人ばかりですが、地域にコミットメントできるミッションが用意され、経費支援も受けられるというのは、地縁のない人にこそ親和性の高い制度と言えそうです。
移住と地域おこし。立ち位置は正反対ですが、内容を詳しく見てみるとこの2つはリンクしていました。その点を移住検討者にしっかりアピールすれば、移住シーンはさらに活性化するのではないでしょうか?